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2023.2.3

第二十回:これでバッチリ!!クロルヘキシジンの使い方

㊗︎20回!!お陰様で本記事も20回目を向かえることができました🎉
今後も皆さまのお役に立てるよう,張り切って情報をお届けします!

さて,今回はクロルヘキシジンに関する記事です💡目次は以下の通りです.

(1) クロルヘキシジンとは
(2) 正しい使い方
(3) プラスαのケア

それでは,2023年も頑張って参りましょう♪

(1) クロルヘキシジンとは

クロルヘキシジンは一般細菌や酵母様真菌に効果がある低水準消毒薬​​です.低水準=抗菌スペクトルが狭く,耐性を生じにくい薬剤です.
クロルヘキシジン製剤はクロルヘキシジン(1,6-ビス(4-クロロ-フェニルビグアニド)ヘキサン)とグルコン酸や酢酸,塩酸との塩の状態で製造されます.

特にグラム陽性菌と酵母様真菌に効果があるため,

ブドウ球菌による膿皮症や,マラセチアが原因の皮膚炎

に有効とされます.※ただし真菌に対する効果は細菌に対する効果よりも弱いので,クロルヘキシジンを用いても改善が見られない場合は別の消毒薬を検討してもいいかもしれません.

(2) 正しい使い方

クロルヘキシジンは正しい使い方をしないと細胞を傷つけてしまいます.またアレルギーやショックを起こす可能性もあり,実は取扱い注意なのです…!とはいえ,非常に優秀な消毒剤なので,まずは以下のポイントを抑えて使いましょう.

ポイント①: 膀胱・膣・耳への使用は禁忌

ポイント②: アレルギーが起こる可能性を考慮して用いる

ポイント③: 界面活性剤を含有する製剤は、使用後は洗い流す

ポイント④: ショックを防ぐため,創傷(深い傷口)には低濃度=0.05%を用いる

ポイント⑤: デリケートな部位(外陰・外性器の皮膚)にはより低濃度=0.02%を用いる

ポイント⑥: 結膜嚢にはより低濃度=0.02%を用いて,2分以内に洗い流す ※特に眼は使い方を誤ると角膜障害等を引き起こします.ご注意ください⚠️

皮膚へ用いる場合の基本濃度は0.5%です.創傷がないか確認し,デリケートな部位(眼や性器)は避けながら使用します.

カテーテル等の器具や術野の消毒には0.5-1.0%クロルヘキシジン含有エタノールが用いられる場合があります.この使用法でネコに対して副反応(アレルギー)を起こす可能性があります.使用を避けたり,アレルギーに注意しながら使用してください.

(3) クロルヘキシジン含有洗浄剤

小動物臨床の現場では、クロルヘキシジン含有洗浄剤、特にシャンプー剤が汎用されます。シャンプー剤には界面活性剤が含まれているため、皮膚や被毛の皮脂汚れを除去する効果が期待できます。一方で、クロルヘキシジン含有シャンプー剤の適応後に、皮膚炎や皮膚バリア障害が起こりうる可能性も報告されていることから、使用後は十分に洗い流し,保湿することが重要です.

製剤に含まれるクロルヘキジンの濃度には0.5〜4%と幅があります。国内の報告では、犬の浅在性膿皮症に対して、2%酢酸クロルヘキジン含有外科用局所洗浄剤の週2回の適応が有効であることが示されています。また、犬の表在性膿皮症に対する2%のクロルヘキシジン含有スクラブ剤と4%のシャンプー剤との効果を比較した研究では、両製剤の臨床的な効果には差がなかったことが報告されています。現在のところ、クロルヘキジンの濃度が濃ければ濃いほどよく効く、というわけではなさそうですね。

参考:

1. 健栄製薬ホームページ>各種消毒薬の特徴(8.クロルヘキシジン)

 (​​https://www.kenei-pharm.com/medical/countermeasure/choose/feature08/)​​

2. ユージーペットドットコムホームページ>フジタ製薬 薬用酢酸クロルヘキシジンシャンプー 犬猫用

 (​​https://www.ugpet.com/fujita-chlorhexidine-shampoo/g_50858/)

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