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TOP > 細菌検査のいろは >   >  第六回:消えた細菌の謎!?外耳検査の未検出について

2021.12.12 第六回:消えた細菌の謎!?外耳検査の未検出について

鏡検では菌がはっきり見えているのに、検査に出しても菌未検出だった。そんな経験はありませんか?

耳の細菌検査(特に外耳炎)において未検出の結果となるケースが多く見受けられます。その原因と対策について、今回は学んでいきたいと思います。

第六回の目次は以下の通りです。
①外耳炎からよく検出される菌
②菌未検出の原因は?
③外耳炎の治し方

①外耳炎からよく検出される菌

まず基礎知識として、外耳炎からよく検出される細菌をご紹介します。

外耳炎からよく検出される細菌は、(1)元々常在菌として耳内にある程度存在していた細菌と(2)耳内に少数存在していたが常在菌によって増殖を抑えられていた細菌、の2グループに分けられます。


 (1)元々常在菌として耳内にある程度存在していた細菌
  …ブドウ球菌、コリネバクテリウムなどのグラム陽性菌

 (2)耳内に少数存在していたが常在菌によって増殖を抑えられていた細菌
  …大腸菌、プロテウス菌、緑膿菌などのグラム陰性桿菌

この他、細菌ではありませんが真菌のマラセチアがよくみられます。

(1)の細菌は外耳炎でなくとも検出される可能性がありますので、簡易染色及びグラム染色標本を作成して変性好中球や菌体の貪食像、異常菌量かどうかを確認する必要があります(但し、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(S. pseudintermedius, S. schleiferi, S. aureus)は通常のブドウ球菌と比べて病原性が高いので注意して下さい)。

(2)の細菌は本来発育が抑えられているはずなので、鏡検にて好中球の貪食像が確認できた場合は感染と判断できます。

②菌未検出の原因は?

未検出の理由として最も可能性が高いのは、採取した細菌が既に死んでいた場合です。この場合顕微鏡で菌体が確認されるにも関わらず、結果は未検出となります。細菌が死んでしまう原因と対策は以下の通りです。

[原因①]抗菌成分を含む耳道洗浄液や抗菌薬の使用後に採取した
[対策①]洗浄や抗菌薬投薬後に症状が改善しない場合は治療休止期間を設定し(1-2週間)、再度採取を行う

[原因②]感染部が採取部より内側(中耳)に存在する
[対策②]画像検査等にて中耳病変を確認する。中耳病変が疑われる場合は、カテーテルや耳道内視鏡を用いて中耳内から検体を採材する。中耳への直接的なアプローチが難しい場合は、生理食塩水を充満・回収し、再度鏡検の上、菌体が確認された場合は回収液を検査に供する

また可能性としては高くありませんが、(偏性)嫌気性菌が原因の可能性もあります。この場合はオプション検査である嫌気検査をお申し込み下さい。

③外耳炎の治し方

犬や猫の外耳炎発症には(1)主因, (2)副因, (3)増悪因, (4)素因の4つの因子が複雑に関連しています。代表例を以下に記します。

(1)主因…アレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎や食物アレルギー), 内分泌疾患(甲状腺機能低下症等), 寄生虫感染(ミミダニ症)

(2)副因…細菌, 酵母(マラセチア)の増殖, 不適切な治療

(3)増悪因…耳垢過多, 耳道内分泌の亢進, 外耳道の狭窄

(4)素因…耳道が細い(短頭種)、耳毛過剰、高温多湿な環境

主因は単独で外耳炎を起こす因子、副因は外耳炎に続発する要因ではあるものの簡単に処理が可能な因子、増悪因は外耳炎に続発し、外耳炎のさらなる悪化要因となるもの、素因は外耳炎の発症リスクをあげるもの、とされます。

つまり、外耳炎の治療は主因に対する対応が最も重要となります。

細菌の増殖はあくまでも副因であり、細菌感染単独では外耳炎を起こすことはありません。そのバックグラウンドにある主因を同定することが大事です。したがって、細菌が検出されたからといって抗菌薬投与のみで外耳炎の治療にあたるのは得策ではなく、主因の同定・管理を行いながら、洗浄や適切な抗菌療法で細菌の増殖を抑えることが細菌感染を伴った外耳炎の適切な治療となります。

③’おまけ 〜早めにセカンドオピニオン〜

耳道の構造の変化(特に耳道狭窄や耳垢塞栓)が著しい症例では、汎用されるマッサージ法による洗浄や点耳薬の投与では十分な改善が認められないことも少なくありません。このような症例は耳の構造変化が不可逆な状態となる前に、耳科診療に特化した施設への紹介受診やセカンドオピニオンを検討してください。構造変化が不可逆な状態になると、外科適応となり、耳道を温存することができなくなってしまいます。1ヶ月内科治療をしても、良好な治療成績が得られない場合を目安にしてみてください。

先生方からセカンドオピニオンをお勧めされると、飼い主さんもより安心できるかと思います。是非ご検討ください🍀

参考文献:犬と猫の日常診療のための抗菌薬治療ガイドブック(原田和記)
監修:獣医師・獣医学博士​​ 伊從慶太

細菌検査事業部 医学修士 角井真名美

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    (菌種にもよるため、必ずではございません。また、嫌気培養は除きます。)
    また、ポスト投函の場合配達にお時間がかかりますので、宅急便などを推奨致します。

    ▪新年の検体受け入れ
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  • 2022.06.09

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    (菌種にもよるため、必ずではございません。また、嫌気培養は除きます。)
    ※ ポスト投函の場合配達にお時間がかかりますので、宅急便などを推奨致します。

    8月9日以降到着の検体は、16日より検査を進めますので、18日以降結果ご報告となります。

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